出来事の手前にある、場作りに注目してみる。場作りが決定的な出来事を呼び込めず、空回りした前フリを続ける。
この連続性を映像の時間で呼ぶならば、展開とも言える。それは、前後を伴う流れでしかなく、ある側面では内容を置き去りに時間を進めてしまう。意味が定着していく、その手前で空振りを続ける運動を記述する試みの物語。
Profile
鐘ヶ江歓一
美術作家。1992年生まれ、2017年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科油画専攻卒業。2018年にNPO 法人AIT/エイト、文化庁主催のアーティストプラクティス2017修了。映像、インスタレーションを中心に人がものを捉える際の知覚の形を模索。上映会企画やダンサー、パフォーマンスアーティストと映像を通して協働もする。