2009年9月、父は行方をくらませた。2週間ほどで戻ってきたが、仕事にはいかなくなり、ずっと家にいるようになった。父は1人で暮していた。借金も家のローンも残っていた。このままでは住む場所をうしない、生活できなくなるのはあきらかだったが、11月になっても父はかわらず仕事もせずに家にいた。私は父の写真を撮るために、父とかかわってみることにした。
Profile
金川晋吾
1981年京都府生まれ。写真家。神戸大学卒業。東京藝術大学大学院博士後期課程修了。三木淳賞、さがみはら写真新人奨励賞受賞。2016年青幻舎より「father」刊行。近年の主な展覧会、2019年「同じ別の生き物」アンスティチュ・フランセ、2018年「長い間」横浜市民ギャラリーあざみ野、など。2019年より自分が書いた日記を声に出して読む「日記を読む会」を不定期で開催している。