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伊丹シリーズⅡ

伊丹2009年初夏-晩秋

監督:崟利子

(66分/2009年)

Filmmaker : Toshiko Takashi

Year of production : 2009 Country : Japan Length : 66 minutes


作品解説

伊丹シリーズ5年目の初夏から撮られたシリーズ10作目。

初期の作品と変わって、フィックスの画面も多くなっているが、その風景のセレクト、絶妙なカットの尺、音や白画面のフェイドイン/フェイドアウトによる異化効果の強度は増しているように見える。

シリーズでも最長の1時間を超える作品で、中盤に入ったところで印象的なモノローグが用いられ、夏の訪れと共に祭りのシーンでは(夏祭りらしからぬものも含めて!)様々な音楽も同録ではあるが入ってくる。つまり、情報量が増えている。しかしそのことによって視線の強度が阻害されたり、作品のもつ精度が落ちたりすることはもちろんなく、崟利子が紡いできた織物に色が付くような鮮やかささえある。そして余談にはなるが、今回特別配信しているシリーズ11作目『伊丹2009年冬-2010年春』では、この音楽(=演奏シーン)の使い方がまた進化していて感動的なシーンを作りあげているので、是非そちらもご覧いただきたい。

モノローグ、音楽に加えて、本作ではとうとうスーパー(文字)も使われる。夏の夕焼けや花火、秋空などシリーズの中でも殊更に美しいカットが多い作品だが、やはりこの作品がシリーズの中でも特筆すべき作品であることはこの情報量という意味でも確かである。

Profile

崟利子 | Toshiko Takashi
大阪生まれ。福田克彦監督の助監督、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭のディレクター等を経て、『オードI』『西天下茶屋・おおいし荘』を制作(1998、山形国際ドキュ メンタリー映画祭1999)。『Blessed ─祝福─ 』(2001、山形国際ドキュメンタリー映画祭2001)は、ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞受賞。 2005年より東京茅場町のギャラリーマキにて新作発表上映会「季刊タカシ」、2009年から神戸映画資料館で「タカシ時間」を開催している。 近作に、『Wave 踊る人』(2016、恵比寿映像祭 2017)『BETWEEN YESTERDAY& TOMORROW Omnibus2011/2016/2021』(2021、 山形国際ドキュメンタリー映画祭2021)。