高い海からアトランティック, 太平洋, 地中海の海岸へ流れ着くものは、プラスティックかもしれないし、放射能かもしれないし、それはどこかに留まるかもしれない。ある夜、女性は地中海で動けなくなった。彼女の声は、翻訳することができなかった。
言葉は、例えば日本語から英語、英語から日本語にした時にその本当のニュアンスって伝わらないのではないか?と思います。そして、それは例えばドイツ語からスペイン語にした時にも同じことが生じるでしょう。そこには、本当はもっとこのニュアンスを伝えたいのに伝えられない!というその人がその言葉を使うようになった/その背景を知らせることができないという、もどかしさがあるのではないでしょうか、と私の体験を通して推測しています。
2015年から難民を受け入れる政策を打ち出したドイツは何万人もの人々に入国し住む権利を与えました。それを知ったたくさんの人々がアフリカ大陸から地中海をボートで渡ってたどり着きました。それとは逆に、たくさんの人々が海で転覆し溺れて死んでしまうというとても悲しいことが同時に起きていました。
作家のメリーナはアルゼンチン人で、映画作家を目指して南米のアルゼンチンからドイツに越してきて、数年が経過しました。彼女は、言葉の違いやヨーロッパの政策に翻弄されながら、日本のことや外国で起きていることに思いを馳せ、アナログフィルムを使った制作を行っています。これらのテーマで制作した作品がこの「Futuro, un film griego-argentino」です。
Profile
メリーナ・パフンディ
1987年、アルゼンチン/マル・デル・プラタ生まれ。ベルリン在住。彼女は、アルゼンチンのブエノスアイレスで映画、哲学、ファインアートを勉強した。その後、ブエノスアイレスの映画ミュージアム(Pablo C. Ducrós Hicken)で、アナログフィルムアーカイブ修復士として働いていた。2016年からベルリン在住。他、フランツ・ミュラーの助監督として働いた経験がある。現在、実験的な映像作品を制作するLabor Berlinという団体のメンバー。
Melina Pafundi
Melina Pafundi (1987) Mar del Plata, Argentina. She studied Film and Video direction, Philosophy and Fine Arts. She has worked as a film archive restorer at the Buenos Aires Film Museum, Pablo C. Ducrós Hicken. Since 2016 lives in Berlin, and she has worked with the director Franz Müller as an Assistant Director and is member of the film laboratory directed by artists LaborBerlin e.V.