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石川多摩川『目の奥に』+鈴木光『Garden』

映画作家:石川多摩川

石川多摩川『目の奥に』(2025年/54分)

鈴木光『Garden』(2016年/16分)

Filmmaker: Tamagawa Ishikawa

Artist/Filmmaker: Hikaru Suzuki


 石川多摩川がラフカットとして発表してきた2023年から2024年の夏までの記録による偏月日記映画『目の奥に』(2025年)の完成版を、鈴木光がベルリン在住時に日本に一時帰国した際に制作した『Garden』(2016年)とともに上映する。

『目の奥に』

 2023年8月、10月、12月、2024年2月、4月、6月、8月の七ヶ月間、毎日15秒の動画を一眼レフカメラで撮り続けた。フィルム代の高騰でムービーもスチールもフィルムを使いにくくなって、鈴木光氏から譲り受けたデジタル一眼レフと共に、リハビリのように日々を撮った。最初の2023年8月のひと月分をまとめた時に、これは記録になっているんじゃないかと思った。少し時間を置いて、この光や季節や音がどう見えてくるのか、個人的にも楽しみにしている。

(石川多摩川『目の奥に』の画像01)

(石川多摩川『目の奥に』の画像02)

(石川多摩川『目の奥に』の画像03)

『Garden』

 本作は、ベルリンでの日々に一度の敗北を感じ、日本へと一時帰国した、ある「空白」から生まれました。あざみ野市民ギャラリーでの展覧会をきっかけに紡がれたこの作品は、私自身のプライベートな記憶と、遠く隔たった歴史の政治性が静かに交差する、避難所のような映像作品です。

 画面には、高齢になった母の庭の手入れの風景と、私が生まれ育った町から消えゆこうとしている機織り工場の日常が映し出されます。そこに重なるのは、当時のパートナーであったドイツ人女性が語るイラン・イラク戦争の物語、そして作家セルピル・トゥーハン(Serpil Turhan)氏の作品から借り受けたナチ親衛隊の剥き出しの音声。私は、機織りの規則正しいリズムをなぞるように、ドイツ語で声を重ねました。

 当時の私は、日本の社会に地に足をつけることができず、震災の記憶も整理できないまま、ただこの土地に浮遊するように立っていました。加速するデジタル化の波から切り離された機織りの時間は、まるで止まってしまったかのように美しく、どこにも属せない私の孤独な時間と深く共鳴していました。

 今回、この『Garden』を再び上映することにしたのは、私とドイツとの関わりが薄れつつある今、あえてその原点を見つめ直したいと考えたからです。上映団体の名前には、ベルリンの政治的・文化的な体質、そしてここで上映されるそれぞれの作品の中で行われる実験性の記憶が含まれています。それらは、かつて私が日本という土地で感じていた「断絶」の先にある、今も終わらない明日への問いかけでもあります。整理のつかない感情をそのままに放り投げること。その中途半端で、しかし切実な時間の震えが、この一本のビデオには静かに刻まれています。

Profile

石川 多摩川(いしかわ たまがわ)
1983年東京生まれ。都内映画館にて上映企画、配給、映写などの勤務をしながら、主に8mmフィルムでの映像制作、執筆・演奏活動などを行っている。参加したプロジェクト「BETWEEN YESTERDAY & TOMORROW」は、山形国際ドキュメンタリー映画祭、恵比寿映像祭、ARS ELECTRONICAなどで上映された。EFCJメンバー。

鈴木 光(すずき ひかる)
1984年福島県生まれ。武蔵野美術大学彫刻学科卒業。ベルリン芸術大学大学院映像学科卒業。第一回座・高円寺ドキュメンタリーフィルムフェスティバル・第7回恵比寿映像祭・イメージフォーラムフェスティバル2017・コラボレーション作品で山形国際ドキュメンタリー映画祭(2011, 2017,2021)に参加。アートセンターオンゴーイングやKAYOKOYUKIなどのアートギャラリーで個展も行っている。EFCJメンバー。

Tamagawa Ishikawa

EFCJ Member

Hikaru Suzuki

EFCJ Member

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