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『人はいない』

(72分/2002年/日本語)

Filmmaker: Shingo Ouchi

Year of production : 2002 Country : Japan Length : 72 minutes


 劇映画の分野でも活動する大内伸悟の多摩美術大学卒業制作『人はいない』(2002年)は、16mmフィルムで撮影されたひと夏のすれ違いを描く。登場人物は後ろ姿や濃い影によって不明瞭に示され、やがて人物不在の風景が前景化し、そこに映る建物や土地の歴史も呼び起こされていく。

 あるひと夏の団地の住人たち。そこに差し込む光と流れる雲。蝉の声と、黒く濃い影。断片的な会話や主要な人間関係はあるが、基本的に登場人物たちは孤独だ。独り佇み、ラジオを聞き、電話をする。
 16mmフィルムで撮られた2000年台初頭の夏は、”映画”らしい画面だ。しかし、物語は語られず、喋らない人の顔は映るが、喋っている人の顔は映らない。表情というものが物語の表象には非常に重要なのだと改めて感じる。夜の青。昼の影。扇風機の動き。エレベーターの光。詩のようで映画のようで日記のようでドキュメントのようで、映像を観る悦びに満ちた72分間。

作家コメント:

20年以上前に作った作品なので記憶が朧げですが、今でも覚えているのは、物語を作る上で生まれてしまう作為的な部分を排除し、夏が終わっていくという時間の経過をストーリーに据えられないかと制作した映画です。今となっては夏がいつ終わるんじゃい!な季節感になってしまいましたが、当時の季節が移り変わっていく情景を光と音で表現しました。
主要人物は若い男女3名です。その時から消失していたコミュニティを表現するために人物はほとんど交わらずすれ違いがあるくらいに設定しました。
この映画にはたびたび人物がフレームアウトして出てこなかったり、そもそも映ってないシーンが多くあります。自分がいなかった世界、自分がいくなった世界はどんな時間が流れるんだろう、、なんて考えながらも作っていました。
今の自分には聞こえない音や見えない光が映っています。
時代が移り変わった現在に、自分が聞こえていた音や感動した光がどういう伝わり方をするのか、、
知れたら励みになります。

Profile

大内伸悟
多摩美術大学映像演劇学科卒
卒業制作の「人はいない」(本作)が
2005イメージフォーラムフェスティバルで受賞
2006ロッテルダム映画祭に公式招待
自主制作の「知らない町」が
2014東京国際映画祭招待
2016シアターイメージフォーラムにて劇場公開
現在は家庭を支えるため映画制作は休止中。。
お金持ちになって映画を作り続けることを模索中。

Shingo Ouchi
Film Maker

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