Experimental film culture vol.3.5 in Japan ~ポレポレオルタナティブ~ 2021年11月22日(月) &23日(火・祝)

このイベントは、盛況のうちに終了しました。ご来場頂きまして、誠にありがとうございました。

■Experimental film culture vol.3.5 in Japan ~ポレポレオルタナティブ~

主催:鈴木光 石川翔平 西澤諭志

ウェブデザイン:小原佐和子

フライヤーデザイン:松田 洋和

開催日:2021年11月22日(月)、23日(火祝)の2日間

所在地:ポレポレ坐(https://pole2za.com/)

■料金:1回券:1500円 3回券:3600円 フリーパス:6500円 (8枚限定) 

※各回定員25名 ※予約者優先 ※回数券、フリーパス購入の方も事前予約をお勧めします

チケットの予約は、プログラム名、お名前、人数、電話番号を明記の上、info@efcjp.infoまでメールしてください。

フリーパスや三回券を購入希望の方はその旨もメールに明記してください。

チケットの精算は当日になります。

今回の開催について>

これまでこのExperimental film culture in Japanでは、3回上映を行ってきました。Vol 3.5では、これまでこの上映会で上映してきた映像 | 映画作品の中から、独自で字幕制作を行った作品と好評だった作品をピックアップし、再上映する試みを行います。そして、新たにこれまでの上映会にプラスして、今回は、堀禎一監督作品の上映も行います。せっかく字幕をつけても、いつ再上映されるかわからない、素晴らしい作品に敬意を払い、密度が増したこの上映会を是非お楽しみください。

■プログラム

11月22(月)

14:00:「シルビア・シェデルバウアー作品特集」(58分) +ビデオトーク2分〜3分

16:00: ジェームス・ベニング監督作  「On Paradise road」(75分)

18:00:フィリップ・ヴィトマン&カールステン・クラウゼ 監督作 「Szenario」(89分) (ベルリン映画祭2014上映作)

20:00:堀禎一監督作 「天竜区奥領家大沢 夏」(67分) +Experimentarl Film Cultureによるミニトーク

11月23(火祝)

 12:00:西澤諭志作 「百光」(72分)

 14:00:加藤貴文作 「15s」(60分) +西澤諭志×加藤貴文 トーク

 16:30:ネレ・ヴォールアッツ監督作 「The Future Perfect」(65分) + ビデオトーク2分〜3分

 18:30: 堀禎一監督作 「天竜区奥領家大沢 冬」(95分) +葛生賢トーク

■オンラインイベントを開催します: 特別配信プログラム 配信決定! 

《Experimental film culture in Japan vol.3.5》の開催を記念して、今回の上映作品の中から日本人作家の二作品と、事前収録した作家二人による配信限定のスペシャルトークを配信します! 遠方の方、ご来場が難しい方、実際に参加する予定で予習・復習されたい方、など、是非この機会に配信でもEFCをお楽しみください。 

プログラム: 西澤諭志「百光」(72分) 加藤貴文「15s」(60分) +配信限定スペシャル対談(約60分) 

<西澤諭志(写真家・映像作家) × 加藤貴文(イラストレーター・映像作家)> 

2021年11月20日(土)19:00より配信開始!(11/28(日)23:59までアーカイブ)

配信チケット:1500円

お申し込みはこちらから:https://teket.jp/1797/7491 

※電子チケット販売プラットフォームteketへの登録が必要となります 。

※配信のURLは購入したteketアカウントのみで閲覧可能です 。

・チケット発売日 2021年10月20日~

 

■上映作品紹介

シルビア・シェデルバウアー作品特集

「Memories」(19分/ドイツ/2004) 日本語字幕付
バブル期の日本で育った一人の女性。なぜ彼女の両親は昔のことを話さなかったのか?彼女の家族のアーカイブから見つかった箱いっぱいの写真を使って、フィルムメーカーは家族の歴史の1つのバージョンを構築しようとします。

「Remote Intimacy」(14分/ドイツ/2008) 日本語字幕付
ホームムービー、教育用フィルム、ニュース映画などの様々な種類のドキュメンタリー映像と、様々な個人の記憶と文学的なテキストを組み合わせた、一見個人的な物語を組み合わせたファウンド・フッテージ・モンタージュである。繰り返し見る夢の記述から始まるこの映画は、「記憶」を詩的に増幅したものであり、その連想的な物語構造によって、文化的な離散の問題について考える場を開くことを願っています。

「Wishing Well」(13分/ドイツ/2018) ※ベルリン映画祭2018上映作
ベルリン映画祭の短編部門で2018年に上映された網膜を刺激するフリッカー映画。流れるような風景とカラフルな色彩は、時間の解体を引き起こす。フリッカー手法は、動きそのものの超越した主体性を浮かび上がらせる。森の気の流れは、誰かとの再会を催す、それは見る人を危ない世界へと連れ込む。

「Labor of Love」(11分/ドイツ/2020)
2018年に逝去したPaul Clipson監督の「Love’s Refrain」(2016)にインスパイアされたとクレジットされる本作品は、強烈でサイケデリックな色彩による明滅のもとで、マクロとミクロの視覚を縦横無尽に往復しながら宇宙・自然・生物・植物のイメージを鑑賞者の脳内に焼き付けていく。

Sylvia Schedelbauer(シルビア・シェデルバウアー)
東京生まれ。1993年にベルリンに移住し現在に至る。ベルリン芸術大学で(Katharina Sieverdingの元で)学びました。彼女の映画は、主に拾った映像やアーカイブ映像を詩的に操作することで、広い歴史的物語と個人的な心理的領域の間を行き来します。主な上映作品 ベルリン国際映画祭、トロント国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画祭、ロンドン映画祭、ニューヨーク映画祭、ロバート・フラハティ国際映画セミナー、スタン・ブラッケージ・シンポジウムなどで上映されています。受賞歴:VG Bildkunst賞、ドイツ映画批評家賞、ガス・ヴァン・サント賞(最優秀実験映画賞)など。

「On Paradise road」 ジェームス・ベニング

(75分/アメリカ/2020)日本語字幕なし

長時間の固定ショットで風景を撮影する風景映画の作家として知られるベニングだが、本作はコロナ禍でロックダウン中のカリフォルニアの自宅の内部だけで撮影された作品である。しかし、その主題と撮影スタイルは本作でも継承されており、無人のキッチンや壁に飾られた絵画などを過剰な長回しで映し出し、作家本人の日常の風景が再現されている。

James Benning(ジェームス・ベニング)
1942年生まれ。米国の映画作家。カリフォルニア芸術大学教授。1970年代からこれまで長編短編あわせて50本以上の作品を制作している。『RR』(07)、『ルール』(09)、『スモール・ロード』(11)、『ステンプル・パス』(12)など、多くの作品が日本でもイメージフォーラム・フェスティバルや恵比寿映像祭などで上映されている。

「Szenario」フィリップ・ヴィトマン&カールステン・クラウゼ

(90分/ドイツ/2014) 日本語字幕付

1970年、西ドイツの代表的な都市で、表面的には整った生活を送っていた黒のブリーフケースの中身。このブリーフケースに入っているのは、中小企業の経営者ハンスとその秘書モニカの不倫関係を綿密に記録した書類。二人の性行為の詳細な記録は、同じ状況下で別の人生を歩む無限の可能性と有限の確率の場に痕跡を残している。

Philip Widmann(フィリップ・ヴィトマン)
1980年西ベルリン生まれ。映画、テキストを制作し、映画プログラムを制作する。
彼の作品は、ベルリン国際映画祭、IFFロッテルダム、Views from the Avantgarde、FIDマルセイユ、CPH:DOX、Visions du Réel、Wexner Center for the Arts、KWベルリン、Tabakalera San Sebastiánなどの映画祭やアートスペースで上映されている。 山形国際ドキュメンタリー映画祭2017では「ニンホアの家」(2016)がインターナショナル・コンペティションに選出された。 また、Arkipel Jakarta、Image Forum Tokyo、Kassel Dokfestなどの映画プログラムを担当し、現在はEuropean Media Art Festival Osnabrückの共同プログラムを担当。

「天竜区奥領家大沢 夏」 堀禎一

(67分/日本/2014)

天竜区奥領家大沢 冬」 堀禎一

(95分/日本/2015)

「天竜区」は静岡県浜松市北部の広大な森林部に位置する。老人の語りを背景に、山間部の幽玄な風景や、農作業の様子などが膨大な数のショットによってひたすら描写されていく。巧みな農作業の身振り、終戦記念日のアナウンス、とち餅の調理風景をおさめた画面を鑑賞すれば、この地区の歴史的記憶や生活の伝統が鮮やかに想起させられるだろう。
しかし本二作品のもう一つの重要な点はむしろ、次第に異常に聴こえてくるショット毎にブツ切りにされた環境音・老人の声・ホワイトノイズのリズミカルな連続を呼び水に土地の歴史や風土から遊離し、映像における風景の「描写」とは一体何なのか、という映像そのものへの問いかけを誘発せずにはいられなくなる過剰さではないか。

堀禎一(Hori Teiichi)
アテネ・フランセ文化センター「堀禎一そして/あるいは現代映画」より(http://www.athenee.net/culturalcenter/program/ho/hori.html)
1969年兵庫県生まれ。東京大学在学中、1年ほどパリでシネマテーク通いの日々を送る。帰国後、数本の8ミリ短編を自主制作(現存せず)。同大学仏文科卒業後、ドキュメンタリー映画作家の佐藤真が構成・編集を担当した『おてんとうさまがほしい』(1994)の制作助手を経験した後、ピンク映画界入りし小林悟に師事。北沢幸雄、サトウトシキらの助監督を務める。『宙ぶらりん』(2003)で監督デビュー。同作を含む3本のピンク映画を発表後、『妄想少女オタク系』(2007)で一般映画に進出。ライトノベルやコミック原作の青春映画に活動の場を拡げる。『魔法少女を忘れない』(2011)の後、数年の沈黙を経て、静岡県の過疎集落に生きる山間の人々の生活を記録した上映時間4時間超のドキュメンタリー「天竜区」シリーズ(2014–2017)を完成。続いて『夏の娘たち~ひめごと~』(2017)で新境地を開くが、その公開と同時に開催された初の全作品回顧上映の会期中に倒れ急逝(享年47)。

「百光」西澤諭志

『百光(ひゃっこう)』
『百光(ひゃっこう)』

(72分/日本/2013)

「百光」は、東京都市部で生活する人間の見た、風景についての映像である。作者は自身が住む部屋で撮影した一年分の動画を、「布団」、「台所」、「客人」、「窓」の四章に分類し、それぞれ違った方法でその部屋を描写する。「布団」では同居人である恋人との私的な関係性が、「台所」では生活のために集まった日用品の数々が、「客人」では友人との会話を通して彼らが置かれている経済的な制約からうまれた行動様式が、「窓」では部屋から見える風景の時間的な変化が描かれる。各章を通じて「窓」にいたることで、鑑賞者は一つの風景が生成される過程に立ち会うだろう。

西澤諭志(Nishizawa Satoshi)
1983年長野県生まれ。 写真家/映像作家 。 カメラで記録した身辺の映像から、細部の社会的、経済的な側面へも目を向ける為の作品を発表。 主な展覧会に「西澤諭志展―写真/絶景 そこにあるもの―」(LIXIL Gallery2、2009)、「Parrhesia #013 西澤諭志[普通]ふれあい・復興・発揚」(TAPギャラリー、2018)。主な上映会に「西澤諭志特集:ドキュメンタリーのハードコア」(UPLINK、2017)

「15s」 加藤貴文

(60分/日本/2021年)

Twitter上で1時間に1回、15秒1ショットの動画を投稿するbot「15s」。投稿されるショットは端正で、一見何らかのデータベースからランダムに生成されたかのような、撮影者のプライベートや身体性を想像させる要素が非常に希薄な動画である。しかし実際には、作者の加藤がbotとしてのノルマを達成するため日々撮影したショットで構成されており、同じショットが投稿されることは二度とない。このほとんどレイバー・ワークと呼びたくなる膨大な作業の集積によって、結果的に私たちの生活を取り巻く「見えている/見ても良い/見せても良い」風景が、いかに視覚効果に基づいて周到に管理されたものであるかが露わになる。今回は「15s」プロジェクトを60分の上映版として公開する。

加藤貴文(Kato Takafumi)
1983年埼玉県生まれ、東京都在住。武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース修了。イラストレーター・映像作家。撮影・映像制作業務のほか、ニュースアプリ「SmartNews」のマスコットキャラ「地球くん」の日替わりイラストを担当。主なグループ展に「むびぐみX」(金沢アートグミ)など。

「The Future Perfect」ネレ・ヴォールアッツ

(65分/アルゼンチン/2016年) 日本語字幕付

この作品は、外国人が新しい社会に適応していく過程を描いた映画であり、移民としての彼女の状態が、彼女の演技スタイル、ドラマの構成、映画の装置を決定しているのです。脚本は主演のシャオビンと一緒に書き、彼女が自分自身を試し、再構築するプロセスの中で書かれました。そのため、この映画には、彼女がその時想像していたような未来も含まれており、常に変化がもたらされていきます。

Nele Wohlatz(ネレ・ヴォールアッツ)
1982年ドイツ・ハノーファー生まれ。カールスルーエ美術大学で空間演出を、ブエノスアイレスのトルクァト・ディ・テラ大学で映画を学ぶ。2016年、ベルリナーレ・タレンツ・ドックステーションに選出される。演劇作品のビデオや短編映画をいくつか監督している。ブエノスアイレスのゲーテ・インスティトゥートでは、ドキュメンタリー映画を教え、ドイツ映画のプログラムを企画しています。2013年、初の長編映画「Ricardo Bär」がBAFICIでプレミア上映され、FIDMarseille、Antofadocs、Duisburger Filmwocheで賞を受賞した。