Experimental film culture vol.3 in Japan
~ポレポレオルタナティブ

2021年4月29日(木・祝)、30日(金)、5月1日(土)


昨年3月に東中野ポレポレ坐で大反響・大盛況となった実験的映画/映像作品上映会を2021年も開催します!

ベルリン国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭など各地の映画祭で上映された作品を起点に、劇映画/ドキュメンタリー/実験映画/現代美術、ジャンルの境界を超え、映像としての強度を持つ作品が選び出された。日本国内においては未だ知られざる作家たちの新作を数多く含む、世界のエクスペリメンタルフィルムによる現在進行形の映像体験。

主催:鈴木光、石川翔平(ポレポレ東中野)
協力:ゲーテ・インスティトゥート東京、文化庁、西澤諭志、山形国際ドキュメンタリー映画祭、恵比寿映像祭/東京都写真美術館

プログラム

新型コロナウイルスの感染拡大状況によって、時間や開催の変更の可能性があります。
その際は、webなどで告知、およびご予約をいただいた方にはこちらからお知らせしますが、
何卒ご承知おきのうえ、ご了承ください。

緊急事態宣言による時短営業対応のため、
最終日19:30~のA-1プログラムのみ上映を取りやめさせていただきます。何卒ご了承ください。

▽4/29(木・祝)
12:20~【A-1 エッセイフィルム】
『Szenario』フィリップ・ヴィトマン&カールステン・クラウゼ(89分) ※ベルリン映画祭上映作

14:10~【B ビデオレタープロジェクト】 ※マル・デル・プラタ国際映画祭
UTDT-HFBK (80分)

15:50~【C 二人の父】
『God and Father and Me』鈴木光(36分)
『father』金川晋吾(60分)
+トーク20分程度(鈴木光×金川晋吾)

18:20~【D アルゼンチンの二人の作家】
『Noelia』マリア・アルシェ(15分)
『The Future Perfect』ネレ・ヴォールアッツ(65分) ※ロカルノ映画祭ベストファーストフィーチャーフィルム賞

20:00~【E 奥間勝也】
『ラダック それぞれの物語』奥間勝也(40分) ※山形国際ドキュメンタリー映画祭上映作
『ギフト』奥間勝也(40分) ※山形国際ドキュメンタリー映画祭上映作
「骨を掘る男(パイロット版)」奥間勝也(22分)
+トーク15分程度(奥間勝也 聞き手:鈴木光)

▽4/30(金)
18:00~【A-1 エッセイフィルム】
『Szenario』フィリップ・ヴィトマン&カールステン・クラウゼ(89分) ※ベルリン映画祭上映作
+オンライントーク25分程度(フィリップ・ヴィトマン 聞き手:鈴木光)

20:10~【A-2 エッセイフィルム】
『ニンホアの家』フィリップ・ヴィトマン(108分) ※山形国際ドキュメンタリー映画祭上映作

▽5/1(土)
11:30~【F「~映像と斜陽」再編 国内の美術作家による実験的な上映会の試み 】
『イローナとベラ』岡本大河(29分)
『2-8-1』小林耕平(16分)
『Dig a Hole in a Hole (Homogenize)』高嶋晋一+中川周(21分30秒)
『Echo, Post-echo』鐘ヶ江歓一(44分)
+ミニトーク15分程度(鐘ヶ江歓一×岡本大河)

14:00~【G ジェームス・ベニング+吉田孝行】※満席となりました
『On Paradise Road』ジェームス・ベニング(75分) ※2020年新作ジャパン・プレミア
『アルテの夏』吉田孝行(16分)
+トーク15分程度(吉田孝行)

16:00~【H 加藤貴文】
『15s』(60分予定)
+トーク20分程度(加藤貴文×西澤諭志)

17:40~【I 池添俊+シルヴィア・シェーデルバウアー】※満席となりました
『Memories』シルヴィア・シェーデルバウアー(15分)
『Remote Intimacy』シルヴィア・シェーデルバウアー(19分)
『池添俊作品特集』(30分程度)
+トーク30分程度(池添俊)

19:30~【A-1 エッセイフィルム】 この回は上映取りやめとなりました。
『Szenario』フィリップ・ヴィトマン&カールステン・クラウゼ(89分) ※ベルリン映画祭上映作

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■料金
一回券:1500円
三回券:3600円
パス:7000円(8枚限定販売)←フリーパスは予定枚数が終了しました[4/14]
※ドリンクチケット購入不要
※席数25席限定
※予約優先 ★フリーパス・三回券の方も、なるべく事前にどの回を見るかをメールで予約してください
※予約→希望の日時とプログラム名、お名前、人数、電話番号を明記の上、experimentalfilmculture @gmail.comまでメールをしてください。チケットの精算は当日になります。フリーパスや三回券を購入希望の方はその旨もメールに明記してください。

【コロナウィルス感染対策と来場時のお願い】
※ご来場の際は必ずマスクをご着用下さいますよう、お願いいたします。
※入口での手指の消毒にご協力ください。
※席間、ステージと客席の間をいつもより開け、こまめな換気を行います。

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上映スペース・ポレポレ坐にて、映像作家の鈴木光がキュレーションを務める上映イベントを開催します。自身が制作活動を続ける中で生まれてきた二項対立「物語映画と非物語映画」「ドキュメンタリーとフィクション」「インスタレーションと上映」「コンテンポラリーアートと映画」「実験映画とドキュメンタリー」これらはどのように対立しているのか、そもそも対立しているのではなく共存できるのか、その間を見つめることのできる作品が集まりました。

このイベントでは、ベルリン・ブエノスアイレス・東京を拠点に活動する映像作家/アーティストの作品、主にベルリン映画祭や、ロカルノ映画祭で上映された実験的な映像表現を見ることができます。

vol.3では、『Szenario』(フィリップ・ヴィトマン&カールステン・クラウゼの共同作品/2014年ベルリン映画祭上映作)という映画からプログラムが組み立てられていきました。この映画は、エッセイ映画というジャンルに属する作品で、1970年の西ドイツを舞台にしたある男女の日々の情事を描いています。このミニ映像祭のテーマは、制作の方法として様々な実験的な要素を含み込む潜在能力を有する「エッセイ映画」と「日常」です。
超インディペンデントで、他では見ることができない、映像作品をこの機会に是非ご高覧ください!エクスペリメンタルフィルムとは何か?ドキュメンタリーとフィクションの間とは何か!?という問いへの美術/アート/作家主義映画の一つの回答でもあるかもしれません!

(鈴木光 2004年から映像作品の制作を開始。2012—2018ベルリンに滞在。ベルリンとポツダムの大学で映画とアートを学ぶ。2018年ドイツ文化センターと共同でベルリン映画祭レポート。同年に日本へ帰国し、現在は某映像プロダクション勤務)


鈴木光 コメント
実験映画という活動は日本にはもうほぼ存在しないし、非常に弱々しい活動になっていると思います。私は「実験映画」という古い定義で、この言葉を使うのではなく、それよりも、現在、アーティストによる映像を用いた実験的な表現や他の(オルタナティブな)試み(現代アートを含む)としての「実験的映画」という意味で、この言葉を使用したいと思っています。

ドイツで、私は映像実験のあるシーンを見てきました。日本でも多くのアーティストが映像を作っていますが、イメージフォーラムのようなところを除いては、他どこでそれを見ていいのか、場所を発見することはできません。アーティストやそのような映画制作者にとっては、日本では発表する場所の数があまりにも少ないのが現状です。

今回のこのミニ映像祭のオルタナティブなフェスティバルの意図としては、映画祭では上映されても劇場公開はされない映画を再度上映すること、美術館などのシステムの既存の枠に入らない映像作品の発表の場を作ること、アーティスト・映像制作者の発表のための場所をもっと増やしていきたいと思っていることが挙げられます。アーティストの発表の場がないと、シーンが小さくなってしまうし、いつの日か消えてしまうかもしれません。

また、今回ドイツや、その他にもアルゼンチンの作品が上映されるということは、日本での国際的な文化交流において、非常に意味のあることであると存じます。海外の映画や実験的な作品に興味を持っている日本人は多いと想像しているためです。


■テーマ

エクスペリメンタルな日常。今回上映する映画は、アーティスト・映画作家の日常の中から生まれてきます。日本では「エッセイ映画」という言葉はあまり使用されていないように存じますが、ドイツで映画を勉強する上でよく触れるジャンルです。そのため、もう一つのキーワードは「方法としてのエッセイ映画」です。ドイツで言うエッセイ映画は、流れる映像に載せて話続ける人がいます。その話し手が、どんな設定でどんなトーンで話すのか、もちろん様々ですが、一歩その使い方を間違えると、そのナラティブな映画の形がズタズタに破壊されてしまう危険性をはらんでいます。その意味でこの方法は、すごく繊細で実験的な手法であると言えます。逆に言えば、少しリズムやトーンを変えるだけで全く別な質を持った映像へ変化し、言葉と映像の組み合わせが織りなすクリエイティビティーは無限大であることも教えてくれます。そういった実験的で無限大の方法をテーマとして設定することは、他作品を見るとき、何かしらの答えや別な見方を呼び起こすことができるのではないかと考え、今回、最初に上映しようと思いついた作品がフィリップ・ヴィトマンのエッセイ形式を持った映画『Szenario』でした。ここから、他の作品のプログラムを組み立てていきました。

対象と取材者として対峙するのか、「私」として対峙するのか。なぜ映像なのか、なぜフィルムなのか。フィクショナルな視点は必要か、観察するのか。

東中野の小さな会場で世界のエクスペリメンタルフィルムを見つめてみませんか。