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23-3

作家:斎藤玲児

(約30分/日本/2020年)

Artist: Saito Reiji

Year of production : 2020 Country : Japan Length : 30 minutes


作者の言葉
見ることも聞くこともすべてが一度では十分ではない。繰り返すことと続けることでしか何もなし得ない。
日々、生活の断片をカメラで記録する。詳細な日記も欠かさず記す。そして何度も見る。
それらの映像が自分自身にとって十分であったためしはなく、かろうじて記憶が完全に消え失せないための印でしかない。何かが撮れることは期待しない。それがそこにあったこと、そこに自分がいたことの証としてだけ残す。
しかし追憶というのは困難なものに思う。撮られた映像は記憶の補完にならないどころか、残す程にイメージとして頭に巣食い、追憶を不可能にさえする。それでも、現実に拠った映像というものに、ほんの一片分でも頼るほかない。あるいは60年後に機能することを期待している。
イメージが遺体だったとしても作品は生き物となり得る。やはり繰り返すことと続けることでしかなし得ない。

Profile

斎藤玲児[Saito Reiji]

1987年東京都生まれ。武蔵野美術大学油絵学科卒業。日々の生活の中で撮りためられた大量の写真と動画を元に、2008年から映像作品を制作し続けている。東京を拠点に国内外で作品を発表。主な展覧会に「And again {I wait for collision}」(KINGS / メルボルン / 2019)「5月」(以外スタジオ / 東京 / 2019)「鈴木光 / 斎藤玲児 映像上映」(KAYOKOYUKI / 東京 / 2017)「もうひとつの選択 Alternative Choice」(横浜市民ギャラリーあざみ野 / 神奈川 / 2015)「#18-4」( switch point / 東京 / 2016)